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防音室で先輩に襲われて…
第9章 ゴミの無い部屋
『本当に慣れていないんだね。普段から友達と電話しないのかい?』
「……う、はい、……しません」
『上坂先輩とも?』
「上坂先輩ともしません。連絡先は交換したけど、まだ一度も…」
『──…へぇ』
「……?それで、電話の用は……?」
『要件は、ないよ』
電話向こうの彼の声は、しっとりと落ち着いていた。
『君の声……聞きたい気分になったから、そうしているだけ』
「……」
『…驚かないの?』
「………あ、えーっと」
『ま、今さらこんな甘い台詞に一喜一憂するほど、君もバカな女じゃないよな』
フッと笑った息遣いが、電話ごしに伝わってきた。
息を呑んだ乃ノ花は少しだけ迷った後で、彼に問いかけた。
「あ、あの」
『……ん?』
「先輩、──…何かあったんですか?大丈夫ですか?」
『……っ、は?』
彼女のその問いかけは、思いもよらないもので
『何だよ、それ』
不意をつかれたことで椎名の声色が低く変わった。
けれど乃ノ花は怯えなかった。終始オドオドとしてはいるが…。
不思議と今は、怖くなかった。

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