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防音室で先輩に襲われて…
第9章 ゴミの無い部屋


(スマホが鳴ってる…?)


 夜も遅くなり、塾からの帰り道。

 カバンからスマホを取り出した乃ノ花は、着信の相手を見て困惑した。

(椎名先輩からだ……!どうしよう…出たくない)

 両手でにぎりしめ、歩道の真ん中で立ち止まる乃ノ花。

(出たくないよ)

 無視してしまいたかったが、そんな事をすればどんな制裁が待っているかわからない。

 一度着信が切れた後、無音のスマホをしばらく握りしめ──

 おそるおそる、椎名の番号に折り返した。


『…もしもし』

「ぁ……えと、こ、こんばんは、辻、乃ノ花です…!」

『ははっ、何その改まった挨拶』

「ごめんなさいっ こういう時の言い方よくわからなくて!……で、あの、先ほどの電話のご要件は何でしょうか」

『だからそれ…言い方がビジネスマンみたいになってるんだけど?』

 電話の向こうで椎名が呆れている。



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