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防音室で先輩に襲われて…
第9章 ゴミの無い部屋
「そうそう」
続けて母は話し進める。
そっぽを向いて話しているから、それが独り言なのか、再び階段に戻った椎名に向けているのかはわからない。
「明日は祝日で地区大会の予選試合があるから、私は健太の応援に行ってくるわね」
「そうか」
「彰はどうする?」
「俺は──…やめておくよ。明日は外で自習する」
「まぁそうよね。彰はサッカーに興味ないものね」
「興味?……そうだね」
誰にも見られていないところで、椎名の頬が不自然に吊り上がる。
「健太には悪いけど、" 今はもう " 興味ないかな」
「そうよね、今までたくさん習い事させてあげたのに、あなたスポーツはひとつも上手くできないんだもの。健太とは真反対。ま、勉強嫌いじゃなかったみたいでそこはひと安心だけど…………彰?」
母親が小言を口にする間に、リビングからは物音が消えていた。
「彰?いないの?」
そのうち、階段を上る頼りなげな足音もやんだ。
自室に戻りカバンを置いた椎名は、何も感じていなかった。
(晩飯買いにコンビニにでも行くか…)
しっかりと整頓されたその部屋では、小さなゴミのひとつでさえ居場所を許されていなかった。
──…

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