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シロップ
第1章 シロップ
1 シロップの秘密
「ねぇねぇ彩美知ってる?」
「え?」
カフェでランチの食後のコーヒーを飲んでいる時、同僚の美千代が得意気な表情で訊いてきた。
「あのさぁ、ほらぁ、かき氷にかけるシロップってさぁ、実はみんな同じ味なんだってっ」
「え、ウソだぁ」
わたしは驚いて聞き返す。
「ホントなんだってぇ、夕べテレビで言ってたもん」
美千代は目をキラキラと輝かせ、笑顔で言ってくる。
「えーだってぇ、みんな味違うじゃん?」
「ううん、違わないんだってぇ…
みんな同じ味で色が違うだけなんだってさぁ」
「え、そ、そうだったのぉ…」
わたしはその話しに少し驚いてしまう。
「なんかね、あの色とネーミングでね、みんな勝手に自分で味を決めつけちゃうんだってさぁ…
あ、それとね、香料は少し使ってるみたいらしいんだけど、その微かな香りと色合いで、イチゴならイチゴ味、レモンならレモン味って勝手に自分で脳内でイメージして錯覚しちゃってんだってぇ」
「ウソぉ、ビックリ…」
「でしょう?、わたしも夕べビックリしちゃったのよぉ」
「えー、わたしイチゴ味もレモン味も大好きだったのにぃ…
じゃぁさぁ、ブルーハワイ味もイチゴ味もレモン味もみんな同じなんだぁ?」
「そうみたいよぉ」
美千代は満面の笑みを浮かべ、得意気に語ってくる。
「あ、でも、ブルーハワイ味ってさぁ、そういえばどんな味なんだろう?」
わたしは浮かんだ疑問を口に出す。
「うーん、確かにそうよねぇ…
あ、ブルーハワイってさぁ、味じゃなくて見た目の色なんじゃない?」
「あ、そうかぁ、見た目の色からのブルーハワイかぁ?」
「そうよね、見た目のイメージだから味に違いはないのかもね」
「うーん…そ、そうかぁ、見た目かぁ…」
わたしはそんな美千代の話しに感心と、そして同時に…
不惑と心の騒めきを感じてきていた。
それは味が同じでも、見た目が、色が違うと勝手にイメージして思い込んでしまう、という事…
つまり、それは、まるで…
今の自分自身のことみたいであったから…
「ねぇねぇ彩美知ってる?」
「え?」
カフェでランチの食後のコーヒーを飲んでいる時、同僚の美千代が得意気な表情で訊いてきた。
「あのさぁ、ほらぁ、かき氷にかけるシロップってさぁ、実はみんな同じ味なんだってっ」
「え、ウソだぁ」
わたしは驚いて聞き返す。
「ホントなんだってぇ、夕べテレビで言ってたもん」
美千代は目をキラキラと輝かせ、笑顔で言ってくる。
「えーだってぇ、みんな味違うじゃん?」
「ううん、違わないんだってぇ…
みんな同じ味で色が違うだけなんだってさぁ」
「え、そ、そうだったのぉ…」
わたしはその話しに少し驚いてしまう。
「なんかね、あの色とネーミングでね、みんな勝手に自分で味を決めつけちゃうんだってさぁ…
あ、それとね、香料は少し使ってるみたいらしいんだけど、その微かな香りと色合いで、イチゴならイチゴ味、レモンならレモン味って勝手に自分で脳内でイメージして錯覚しちゃってんだってぇ」
「ウソぉ、ビックリ…」
「でしょう?、わたしも夕べビックリしちゃったのよぉ」
「えー、わたしイチゴ味もレモン味も大好きだったのにぃ…
じゃぁさぁ、ブルーハワイ味もイチゴ味もレモン味もみんな同じなんだぁ?」
「そうみたいよぉ」
美千代は満面の笑みを浮かべ、得意気に語ってくる。
「あ、でも、ブルーハワイ味ってさぁ、そういえばどんな味なんだろう?」
わたしは浮かんだ疑問を口に出す。
「うーん、確かにそうよねぇ…
あ、ブルーハワイってさぁ、味じゃなくて見た目の色なんじゃない?」
「あ、そうかぁ、見た目の色からのブルーハワイかぁ?」
「そうよね、見た目のイメージだから味に違いはないのかもね」
「うーん…そ、そうかぁ、見た目かぁ…」
わたしはそんな美千代の話しに感心と、そして同時に…
不惑と心の騒めきを感じてきていた。
それは味が同じでも、見た目が、色が違うと勝手にイメージして思い込んでしまう、という事…
つまり、それは、まるで…
今の自分自身のことみたいであったから…

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