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One Night LOVE
第1章 ココア
そう言って、タオルで私の濡れた髪を優しく拭いてくれた。
こんな風に人に髪の毛を拭いてもらったのは、子供の時以来な気がする。
距離が近いため、顔をあげることは恥ずかしくてできない。
真っすぐ見つめると、白のワイシャツからでも分かる厚い胸元。
その胸元を見ていたら、急に彼にオスを感じて、恥ずかしくなった。
「ありがとうございます。後は自分で…」
「あぁ…ごめんね。ついやってしまって」
もしかしたら、子供がいるのかもしれない。
結婚指輪はしていないが、奥さんや彼女の髪の毛を乾かしてあげるのだろう。
優しい人なんだろうな…と思ったら、少しだけ胸がチクンと傷んだ。
さっき会ったばかりだというのに…今日の私はおかしい。
「よかったら、雨が止むまで飲みませんか?」
「じゃあ…お任せで、お願いします」
私は、あまりお酒は飲めない。
だけど、バーに来たのにお酒以外を頼むのは気が引ける。
こういう時に便利な言葉は、お任せだ。
「はい。どうぞ」
彼に差し出されたのは、バラの絵が描かれている綺麗なカップ。
匂いからして、中身はココアだ。
「どうして、ココアなんですか?」
彼は、私の質問にうっすらと笑ってコップを磨き続ける。
私がお酒が苦手なのがバレたのだろう。
心を丸裸にされたようで、少し恥ずかしくなった。
「…美味しい」
ココアは始めて飲んだわけではない。
なのに、こんなにも身体にも心にも染みるココアは初めてだ。
雨に打たれたからなのか、それとも、彼の優しさを感じたからなのか…
外の雨を窓から見つめながら、無言の時間を過ごした。
ここ最近は、仕事も忙しくて寝る時間を削ってしていた。
40代の私は中間管理職。
部下の管理もしつつ、上層部への対応もしないといけない。
同期の女の子たちはみんな辞めていった。
結婚、子育て、介護…逆に同期の男たちはみんな私より昇進。
この仕事を続ける意味はあるのか…毎朝自問自答の日々だ。
こんな風に人に髪の毛を拭いてもらったのは、子供の時以来な気がする。
距離が近いため、顔をあげることは恥ずかしくてできない。
真っすぐ見つめると、白のワイシャツからでも分かる厚い胸元。
その胸元を見ていたら、急に彼にオスを感じて、恥ずかしくなった。
「ありがとうございます。後は自分で…」
「あぁ…ごめんね。ついやってしまって」
もしかしたら、子供がいるのかもしれない。
結婚指輪はしていないが、奥さんや彼女の髪の毛を乾かしてあげるのだろう。
優しい人なんだろうな…と思ったら、少しだけ胸がチクンと傷んだ。
さっき会ったばかりだというのに…今日の私はおかしい。
「よかったら、雨が止むまで飲みませんか?」
「じゃあ…お任せで、お願いします」
私は、あまりお酒は飲めない。
だけど、バーに来たのにお酒以外を頼むのは気が引ける。
こういう時に便利な言葉は、お任せだ。
「はい。どうぞ」
彼に差し出されたのは、バラの絵が描かれている綺麗なカップ。
匂いからして、中身はココアだ。
「どうして、ココアなんですか?」
彼は、私の質問にうっすらと笑ってコップを磨き続ける。
私がお酒が苦手なのがバレたのだろう。
心を丸裸にされたようで、少し恥ずかしくなった。
「…美味しい」
ココアは始めて飲んだわけではない。
なのに、こんなにも身体にも心にも染みるココアは初めてだ。
雨に打たれたからなのか、それとも、彼の優しさを感じたからなのか…
外の雨を窓から見つめながら、無言の時間を過ごした。
ここ最近は、仕事も忙しくて寝る時間を削ってしていた。
40代の私は中間管理職。
部下の管理もしつつ、上層部への対応もしないといけない。
同期の女の子たちはみんな辞めていった。
結婚、子育て、介護…逆に同期の男たちはみんな私より昇進。
この仕事を続ける意味はあるのか…毎朝自問自答の日々だ。

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