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第1章 人でなしのはじまり

うちの夫婦はキスは余りしない、いや殆どしない、今なんか絶対しない。３人の子供たちを生産した夫婦なのに、思い起こしてみれば性生活は淡白で味気無いものだったかな

旦那の仕事詳しく書かないけど結構過酷なわけ、だから家に帰ったら旦那にとって家庭は心身ともに休める場、その環境を作るのがあたしの務めだと思ってやってた

主役はいつもお父ちゃんだった
過去形になっちゃったけど

あたしも別にセックスが好きなわけでもなかったし、３人の子供が出来てもう沢山だわって感じで、歳を取る毎に旦那とは疎遠になり、夜は義務的に旦那の生理的欲求の時だけお付き合いするそんな夫婦だった

でもそれが普通だと思ってたね、疑問も不満も無かった。どこの夫婦もこんなもんでしょと思ってた

彼、Nが現れなければ疑問とか不満とかわたしの心にも体にも浮かばず、気付かずに過ごしてたと思う

あの、帯状疱疹てあるじゃないですか？例えが他に思いつかないから帯状疱疹で行くけど、帯状疱疹って症状が出ていなくても、ずーっと体の中に潜んでいて、免疫が弱くなった時にいきなり出てくるじゃない(なったことないから知らないんだけど)

性欲も同じだなあって思った。目覚めたよ。体が勝手に目覚めた。そういうの知っててNも狡いから毎日あたしを誘って来るじゃない、才能を開花させようとして

Nの店でパートで働いてたから、仕事終わりに誘われるでしょ。誘われたらもう蟻地獄。長い、しつこい。あたしは痙攣が止まらないぐらいに絶頂行かされる。そのうち〚仕事はいいから〛なんて言われて、ラブホ行ったり

Ｎもあたしのこと気に入ってくれたんだと思うけど、ラブホ行く回数がやたら増えて、車でしたりもするし、とにかく生活が激変しちゃった

セックス中心に出来上がった生活のルーチンから抜け出せなくなって、すっかり彼に取り憑かれた。明らかにあたしをそんな女にする意図があったの彼には

まあでも言いなりになっても、お金をせびられるわけでもなく、嫌なことを命令されるわけでもなく、こちらの生活も尊重してくれるし、Ｎはめっちゃいい人だった。何よりも未体験の性体験が素晴らしかった


嘘か本当か最近ではこんなこと言うし

〚もう旦那と離婚しちゃう？俺んとこ来るなら所帯持ってもいいよ〛

やばいしょこれ？ それ殺し文句よ、よろめくよ、やめてくれえ、これ以上狂わせんといてくれえー