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イケナイアソビ。
第5章 生け贄は蜜に溺れる

「お目覚めでございますか? 菊生さま、朝食をお持ちいたしました」
 いつの間にやら自分は眠っていたらしい。
 巫女は音もなく座敷に入ってくると、粥を差し出した。

 幾度となく吐精を繰り返す菊生の身体は鉛のように重い。
 触手に求められるがまま身体を開き、腰を振って果て続ける身体には限界を感じていた。

 菊生が力なく起き上がると、するりと赤い着物が落ちた。

 いつ、どうやって着たのかは判らないが、情事の後、菊生の身体には必ずと言っていいほど新しい赤い着物が乗っているのだ。

 もしかすると、この女が寄越よこしたものだろうか。
 そうは思いながらも、しかし菊生は礼を言う気にもならなかった。

「食べたくない」
 代わりにぶっきらぼうな言葉が赤い唇から飛び出る。

「主から、食すようにとのご命令でございます」
 巫女が言った主とは、おそらくはあの無数の触手を持つ付喪神のことだろう。
 彼女はやはり無表情のまま、粥とレンゲを菊生の膝元に置き、座敷から立ち去る。

「……」
 そうは言ったものの、達した後で食べる気力さえもない。
 両親には先立たれ、自分は死ぬことも許されないまま身体を穢し続けなければならない。
 もしかすると抱き殺されてしまうのかもしれない。
 菊生は残酷な自分の運命から逃れたくてうずくまる。
 そっと静かに目を閉ざす。

 寒い。

 身も心も――。

 剥き出しの冷たい床が身に染みる。

 絶望が菊生を襲う中、突然、髪を撫でる手が現れた。
 その手の動きはとても優しく、菊生を宥める。

(誰?)

 両親を失ってからというもの、そのような気遣いを自分に与えてくれた者はいない。
 それに、差し出されたこの手は力強い、男のものだ。
 ここには男はいない。
 付喪神と使い人の巫女のみ。
 だからこれはきっと夢に違いない。

 目を開ければ、この夢が終わってしまう。
 そう思った菊生は目を閉ざしたままにした。

「かあさま、とうさま……」
 目頭が熱くなる。
 目尻から涙が込み上げてきた。

「っひ、ううっ……」
 引き結んだ赤い唇からは嗚咽が漏れる。

 菊生は手を伸ばし、頭を撫でてくれる骨張った力強いその手を取った。
 するともう一方の手が伸びてきて、菊生の丸まった身体を包み込んんでくれる。


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