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イケナイアソビ。
第5章 生け贄は蜜に溺れる

 ◆



 まだ未の刻四つ(午後14時)。
 太陽は分厚い雲に覆われ、薄暗い。
「こちらでございます」
 巫女の姿をした彼女は突如として現れ、明かりとして右手に提灯を手にしている。
 色白で細身の女はにこりとも笑わずそう言うと、池の畔にある祠へと、ひとりの男(お)の子を案内(あない)した。
 男の子の年は16。
 身長は165センチと年頃の子供よりもやや低めである。
 華奢な身体には白装束で身を包んでおり、長い睫毛に守られた大きな目は愛らしく、ふっくらとした唇をしている。
 肩まである漆黒の髪は外に跳ねている。その容姿は少女と見紛うほど可愛らしい。
 名は菊生(きくお)。
 池の畔に住んでいる付喪神への献上品だ。

 菊生は滅多なことでは中に入ることができない社の拝殿に案内されると、巫女はいつの間にか姿形もなく消え失せていた。
 十畳ほどのそこは一切の明かりがなく、薄暗い。
 菊生以外、誰の姿も居なかった。
 自分はたしかに付喪神への生け贄としてやって来た。
 なぜ誰もいないのだろうか。
 不安なまま見回していると、誰の姿も見えないのに、勢いよく背後の扉が硬く閉ざされた。
 姿形こそ見えないが、おそらくは付喪神がこの場に居るに違いない。

 付喪神。
 その者は、この村では邪な人間の煩悩などからできた神だ。
 この社はその神を鎮めるために作られたものだった。
 普段は大人しかったはずの付喪神だが、心ない村人が社を傷つけたせいで怒り、不作続きとなってしまったのだ。
 その怒りを鎮めてもらうため、村人らは苦肉の策として贄を用意したのだった。
 その贄というのが――流行り病にかかり、両親を亡くした身よりのない菊生である。
 どうせ生きていても仕方のない身の上ならばと、彼は自らこの役を買って出た。

 もう、自分に逃げ道はない。
 いくら覚悟してきたとはいえ、怖いものは怖い。
 小さな身体が小刻みに震えている。
 するとふいに、素足に滑りを帯びたひんやりとした感触の何かが絡みつき、菊生の身体はあっという間に宙に浮いた。
「ひ、あ!!」
 驚いた菊生は声を上げ、視線を少しずらせば奥の襖が僅かに開いているのに気がついた。
 襖にも座敷があるのか、隙間を覗けば薄暗い。
 自分の身体を見下ろせば、自分に絡みついているものが僅か一寸(3ミリ)ほどの触手であることが判った。


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