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無敵に近い男
第4章 やはり死刑ですか……
「まったく無駄なこと、させやがって」
 隣に居た騎士の一人が、大きく愚痴を放った。

 しかし、もはや無敵に近かった彼にとって、そんなことは気にしなかった。


 懐かしい感じがする。
 まるで、あの頃に戻ったかのようだ。

 王様は元気だろうか。
 仲間を見捨てておいて、こんなことを思うのもアレだが。

「着いたぞ」

「ここは……」
 王室の扉だ。あの頃と全く変わっていない。
 この奥に、本当に王様が居るというのだろうか。

 しかし王様は、大分ご年配の方だった。
 もしや、もう変わってしまっているのではないか?

 そんなことを考え、扉を開けることに躊躇していると「何やってんだよ」と背中を押してきた。
(初対面なのに、よく、そんなことが……って、ええっ!?)

 俺は、その光景に驚いた。
 王様だ。そこには王様が居たのだ。

「失礼します、コンカラー王。15年前に脱走していた騎士を連れ出しました」

「うむ……うむ……誰だったかな?」

「えっ……私の事、覚えていないんですか!? ほら、レオポルドです!! レオポルドですよ!!」
 彼は必死に声を上げたが、王様の怪訝そうな顔が変わることはなかった。
(どうして……)

「無理もないです。王様は毎年、様々な騎士の顔を見ていらっしゃいますし、最近は歳のせいか忘れることが多くなっているのです……」

 王様の隣に居た王女が、か細い声で話した。

 人は歳を重ねていくにつれ、存在も薄くなっていく気がする。
 以前はあった逞しさも、今では弱ってしまっている。

 そして歳だけは、無敵になっても止められない。そんな気がした。

 彼は、まさかと思い、王女の方にも聞いてみた。
「あの、王女様は……私(わたくし)のこと覚えていらっしゃいますよね……?」

「ええ。私が、まだ10歳だったころ突然、スカートの裾を捲り上げた方ですよね……?」
 少し恥じらいながらも答えた。スカートの裾に目をやりながら、左手で、それをぎゅっと握っている。

「そんなことを、していたのか!?」
 彼を、王室まで誘導していた騎士も、さすがに驚いた。

「あぁ……唯あの頃は、散歩中の王女が、王女だと気づかずに……」

「やったんですか……普通、相手が男でも、やりませんけどね……」
 騎士は思わず、呆れた表情になる。

 そして王様から一言。
「死刑じゃ!」
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