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美味しいサンドイッチの作り方
第8章 光と私と翔の夜
「う、うん、わかった。
光の事呼びに行って来る…」
『…大丈夫だよ…、なゆた』
「え?」
『僕はああ言ってたけど
それで良かったのかな?って
…そんな顔してるからね。
今の…君の…顔がそう言ってる』
私が…感じていた事を翔に
言い当てられてしまって…。
翔の手が私の頭に伸びて来て、
そのままよしよしと頭を
いい子いい子大丈夫って撫でられて。
『なゆた…、君は…優しいね…』
頭を撫でていた翔の手が
そっと…頬に触れて来て、
頬を撫でた指先が…唇をなぞる。
頭を撫でて来た翔の手は
お兄ちゃんの…手だったけど…。
今…、頬を撫でて…唇を
なぞって来た指は…まるで…
恋人にする…それに感じてしまって。
どきどきどき…と自分の
心臓が…騒いでしまって忙しい。
『なゆた…』
そう…さっき呼んだ時とは違う
甘い…声で囁きかける様に
名前を…呼ばれて……。
ベッドの上でこっちを見上げて
じっと…顔を見つめて来る
翔の視線に自分の視線を合わせる。
きゅ…と…私の手を…翔の
手が…握って来て、グイっと
身体を翔の方に引き寄せられて。
ちゅ…ぅ…と…唇の上に
翔の唇が…重なった…。
どきどきと…心臓は…
さっきからずっと騒がしいけど、
騒がしい感じと…同時に
ぎゅっと締め付けられて
苦しくて…切ない……。
このキスを…する寸前に…
見た…翔の目が…忘れられない。
真っすぐに…私を見つめて来るのに
その視線は私を突き抜けて…、
私の後ろに居る”誰か”に…
翔の目は…向けられていて。
その…誰か…を想う…
翔の…切ない気持ちが…
私の中に流れ込んで来るみたいな
そんな…触れるだけの…キス…。
その…”誰か”が…どこの誰なのか、
私には…何も…わからないけど…。
でも……わかること…が…1つ、
翔は……今も…その”誰か”の事が
好き……なんだ…って事……。
そして…その翔の”誰か…”への
恋は…決して…叶うことのない…
そんな…恋なんだって事…、
そして…翔は…それを知ってて…も
その…誰かが…好き…なんだなって…。
自分でも…良く分からない…。
なんで…そうなってしまったのか…。

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