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僕の愛する未亡人
第4章 はじめての嫉妬
佳織は理央の手を引き、人気のない廊下を足早に進む。
佳織の心の奥底では、誰にも見せたくないという独占欲が燃え上がっていた。

会議室の並びを抜け、エレベーターとは反対側にある非常階段下の女子トイレへと入った。自動で照明が灯る。

「え、ちょ、本間さんっ、女子トイレ?!」

不安げに呼びかける理央を振り返り、佳織は無言のまま彼を個室の中へと押し込んだ。ドアがバタンと閉まる。
消毒液の匂いが漂う狭い空間に、二人の体温と鼓動が充満する。理央の胸に両手を当て、ぐっと押し上げるようにして顔を近づけ、その唇を奪う。

「んっ……」

思いがけない強さに理央の背中が壁にぶつかる。驚いたように目を見開いていたが、唇が重なる音が狭い個室に響く。
理央はゆっくりと目を閉じた。
背中を壁に押し付けられたまま、されるがままに唇を受け入れる。

「……ん、ん……本間さん」

重なった息が混ざり合い、熱が狭い個室いっぱいに広がっていく。
佳織は止まらなかった。
まるで冴子の匂いを消し去るかのように、嫉妬と独占欲をそのまま理央の唇にぶつけ、佳織は何度も唇を重ねた。

早く戻らねばならないのに、佳織はそう考えながらも、理央の胸に当てた両手を背中へ滑らせる。
頭の片隅でそう思いながらも、佳織の手は止まらなかった。そして右手は腰を、臀部をなぞっていく。

「……本間さん……」

理央の声は抗うよりも戸惑いに近かった。
それがかえって佳織を駆り立てる。彼の体温を確かめるように、彼の体に右の手のひらを滑らせる。
佳織の中で、冴子への嫉妬がさらに燃え上がる。彼を他の女に渡したくない――ただその思いだけが、体を突き動かしていた。
佳織は唇を重ねながら、理央の体を滑る右手で理央のジャケットのボタンを外し出す。

「え、あ……」

その手はベルトの辺りに到達する。不慣れながらも、カチャリとベルトが外れる音。

「ほ、本間さん…?!」

スラックスの留め金が外され、ジッパーが下ろされる。そして佳織の指先は迷いなく布の内側へと滑り込んでいった。
理央の体がびくりと震え、熱い吐息が漏れた。
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