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僕の愛する未亡人
第4章 はじめての嫉妬

保管庫は棚が並列されて置かれている。
様々な部署の保管用の書類などが置かれていて、コピー用紙を取りにくる以外で、滅多に人がくることがない。
「さて、行きますか」
理央が台車に手をかけた時だった。
佳織に良からぬ考えが芽生える。
(だめ、こんなこと……)
そう思ったはずなのに、体は止められなかった。
思わず理央の肩を棚に押し付け、その体に抱きついていた。
ほのかに香る、冴子の香水。自分の体で上書きしてしまいたかった。
「え……どうしたんですか」
どういう気持ちで、理央は尋ねたのだろう。
もし冴子が理央に何かしていたとしても、佳織自身だって密室で後輩に密着するなどというとんでもない行動に出てしまっている。
だが、とくん、とくん、と理央の心臓の音が聞こえ、妙にそれが心地いい。
彼を離したくなかった。
「嫌……?」
「嫌なわけ、ないじゃないですか。僕、本間さんが好きなんですよ」
佳織の背中に手を回し、ゆっくりと撫でる。
「何かありましたか」
胸に押し当てている顔を、佳織はずらす。見上げると、理央の不安そうな顔が、佳織を覗き込んでいる。彼は何故、こんなにも優しいのか。もう我慢ができなかった。
佳織は顔を近づけて、理央の唇に自らの唇を重ねた。
思わず取った行動に、佳織は顔から火が出そうなほど、恥ずかしかった。たった少し唇が触れただけ。
だが、ここは職場だ。こんな性的なことを考えたことなど、毛頭これまでなかった。
相手が理央だから、心を突き動かされた。
触れ合った唇が離れると、理央は驚いたように目を瞬かせ、それから静かに微笑む。
「めっちゃ嬉しい」
理央は佳織を抱きしめたまま、ちゅっと唇をついばむ。
理央の胸の奥が甘く痺れる。――ここが会社でなければ、と。
だが、ここが会社だという危うさが、かえって佳織の心を熱くさせた。
冴子への嫉妬から我慢できなくなったのは佳織の方だった。
「えっ」
佳織は理央の手を引いて、台車などを置いたまま、保管庫を出る。
保管庫のあるフロアには大きな会議室や、広報宣伝部が展示用の服を保管する倉庫などがあるくらいで、今の時間、廊下はシンと静まりかえっている。
様々な部署の保管用の書類などが置かれていて、コピー用紙を取りにくる以外で、滅多に人がくることがない。
「さて、行きますか」
理央が台車に手をかけた時だった。
佳織に良からぬ考えが芽生える。
(だめ、こんなこと……)
そう思ったはずなのに、体は止められなかった。
思わず理央の肩を棚に押し付け、その体に抱きついていた。
ほのかに香る、冴子の香水。自分の体で上書きしてしまいたかった。
「え……どうしたんですか」
どういう気持ちで、理央は尋ねたのだろう。
もし冴子が理央に何かしていたとしても、佳織自身だって密室で後輩に密着するなどというとんでもない行動に出てしまっている。
だが、とくん、とくん、と理央の心臓の音が聞こえ、妙にそれが心地いい。
彼を離したくなかった。
「嫌……?」
「嫌なわけ、ないじゃないですか。僕、本間さんが好きなんですよ」
佳織の背中に手を回し、ゆっくりと撫でる。
「何かありましたか」
胸に押し当てている顔を、佳織はずらす。見上げると、理央の不安そうな顔が、佳織を覗き込んでいる。彼は何故、こんなにも優しいのか。もう我慢ができなかった。
佳織は顔を近づけて、理央の唇に自らの唇を重ねた。
思わず取った行動に、佳織は顔から火が出そうなほど、恥ずかしかった。たった少し唇が触れただけ。
だが、ここは職場だ。こんな性的なことを考えたことなど、毛頭これまでなかった。
相手が理央だから、心を突き動かされた。
触れ合った唇が離れると、理央は驚いたように目を瞬かせ、それから静かに微笑む。
「めっちゃ嬉しい」
理央は佳織を抱きしめたまま、ちゅっと唇をついばむ。
理央の胸の奥が甘く痺れる。――ここが会社でなければ、と。
だが、ここが会社だという危うさが、かえって佳織の心を熱くさせた。
冴子への嫉妬から我慢できなくなったのは佳織の方だった。
「えっ」
佳織は理央の手を引いて、台車などを置いたまま、保管庫を出る。
保管庫のあるフロアには大きな会議室や、広報宣伝部が展示用の服を保管する倉庫などがあるくらいで、今の時間、廊下はシンと静まりかえっている。

