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僕の愛する未亡人
第4章 はじめての嫉妬
ただ車に乗るだけで、彼女の匂いが理央の衣服に移るはずがない。

何の気ない会話をしながら昼食を取る理央の横で、佳織は唇をきゅっと噛んだ。
佳織も何とか、弁当の残りを口に運ぶ。味がしなかった。





昼休憩が終わって、オフィスのコピー室で佳織が作業をしていると、コピー用紙がなくなったことを機械が知らせる。

「補充しなきゃ……って誰も新しいの補充してない……」

普段積まれてあるはずの場所に、A4用紙の包みがひとつもない。
コピー用紙は面倒くさいことに、このフロアの下の保管庫に置いてある。なくなる前に取りに行くのが普通だが、誰がかそのままにしておいたのだろう。
「はあ」とため息をつくと、ちょうど別のコピー機に書類を飛ばした理央がやってきた。

「どうしたんですか?」

「コピー用紙、誰も補充してなくて、下に取りに行こうかと」

淡々と答えながらも、胸のざわめきがまだ残っているのを自分で感じていた。昼休みに覚えた違和感は、決して消えていない。

佳織はコピー室にある折りたたみ式の台車を手に取り、開こうとする。だが指先に少し力が入りすぎて、金具がカチンと大きな音を立てた。
その瞬間、理央が手に持っていた紙を差し出してくる。

「これ、僕の机の上置いといてくれません? 一緒に下、行きましょう」

佳織の代わりに台車の手すりをもって、理央はにかっと笑う。
――理央がガラガラと台車の音を立てながら、二人でエレベーターに向かう。

「ありがとう、全くなかったから結構持って行っとかないと…」

「ううん、僕が本間さんと話したかっただけだよ」

「え……、やだ、もう」

まだ胸の奥でざわつく違和感が消えきらないのに、不意打ちの言葉に佳織は年甲斐もなく、顔を赤らめる。
しかし、その違和感は、エレベーターの中ではっきりとした。 閉ざされた箱の中、理央の衣服からふわりと香る柑橘の匂い。
おそらく、普段冴子が使っている香水と同じものだと思う。
どれほど近くにいたのか――でなければ、これほど強く彼の衣服に匂いが残るはずがない。

「ん、五束くらいあれば、とりあえず大丈夫ですかね。さっきき見た時、B4もあとひとつだったから四つくらい持って行っときますか」

理央は包みを重ねて、台車の上に置いていく。
――この時間が、佳織には愛おしかった。
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