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僕の愛する未亡人
第2章 はじめての社外業務①

(僕、そんなに、ぼーっとしてたのか。まずいじゃん)
眉間にシワを寄せて、あからさまに下を向いて拗ねる理央に冴子は吹き出した。
「佐藤くんは仕事熱心だよね、偉いよ」
「え」
理央は顔を上げる。思わず顔を上げる。
同じチームとはいえ、理央は飲み会にほとんど顔を出さない。だから仕事以外で冴子とこうして言葉を交わすこと自体が珍しく、そんなふうに評価されるとは思ってもみなかった。
「佐藤くん、飲み会来ないからさ。飲みが嫌なの、分かるんだけど、良かったらご飯でも行く? 話くらいは聞くよ。あ。上司のあたしが嫌で飲み会に来てない場合もあるのか」
冴子はケラケラと笑った。
その仕草で、耳元の赤い石のピアスが小さく揺れる。笑みと同時にふわりと香水の甘い香りが漂い、理央の胸をざわつかせる。
冴子が生産管理部に配属されたのは理央がこの会社に転職した頃だったと記憶している。
だから、付き合いそのものは長い。
彼女は噂や人の私事に無頓着で、仕事以外の関心を持たない人だと理央は思っていた。
だが、それは理央が思う以上らしい。
「ぼ、僕が飲み会に行かない理由、知らないの…?」
「知らない。行きたくない理由なんてそれぞれじゃん」
「え、えっち…したくなるから」
むぅ、と言って理央は下を向く。
おそらく、顔が真っ赤になっている。
普段堂々と公言するのは誰かを傷つけないためだった。
だが、いざそれを知らない相手に言うのは恥ずかしかった。
「僕、飯塚さんとしたくなったら困るもん」
冴子はマグカップを長机に置くと、口元を押さえ、堪えきれないように笑い声を漏らす。
「……佐藤くんって、正直すぎ」
困惑と羞恥で下を向く理央を、冴子は少し身を屈めて覗き込む。
近づいた拍子に、黒髪が肩からさらりと流れ落ち、香水の甘い香りが強まる。
「触っちゃうの? ひどいこと言うの?」
「わ、わかんない、飲み会行かないし……僕、節操ないの、自覚してるから……」
理央はぎゅっと目を閉じる。自分の容姿で、女性には甘やかされてきた。セックスもたくさんしてきた。
だが、他人には迷惑をかけたくない。
「じゃあ、それも聞くよ。あたしと食事行くの、嫌? 何にせよ、ストレス溜まってるんでしょ」
「いいの? 気持ち悪くない?」
眉間にシワを寄せて、あからさまに下を向いて拗ねる理央に冴子は吹き出した。
「佐藤くんは仕事熱心だよね、偉いよ」
「え」
理央は顔を上げる。思わず顔を上げる。
同じチームとはいえ、理央は飲み会にほとんど顔を出さない。だから仕事以外で冴子とこうして言葉を交わすこと自体が珍しく、そんなふうに評価されるとは思ってもみなかった。
「佐藤くん、飲み会来ないからさ。飲みが嫌なの、分かるんだけど、良かったらご飯でも行く? 話くらいは聞くよ。あ。上司のあたしが嫌で飲み会に来てない場合もあるのか」
冴子はケラケラと笑った。
その仕草で、耳元の赤い石のピアスが小さく揺れる。笑みと同時にふわりと香水の甘い香りが漂い、理央の胸をざわつかせる。
冴子が生産管理部に配属されたのは理央がこの会社に転職した頃だったと記憶している。
だから、付き合いそのものは長い。
彼女は噂や人の私事に無頓着で、仕事以外の関心を持たない人だと理央は思っていた。
だが、それは理央が思う以上らしい。
「ぼ、僕が飲み会に行かない理由、知らないの…?」
「知らない。行きたくない理由なんてそれぞれじゃん」
「え、えっち…したくなるから」
むぅ、と言って理央は下を向く。
おそらく、顔が真っ赤になっている。
普段堂々と公言するのは誰かを傷つけないためだった。
だが、いざそれを知らない相手に言うのは恥ずかしかった。
「僕、飯塚さんとしたくなったら困るもん」
冴子はマグカップを長机に置くと、口元を押さえ、堪えきれないように笑い声を漏らす。
「……佐藤くんって、正直すぎ」
困惑と羞恥で下を向く理央を、冴子は少し身を屈めて覗き込む。
近づいた拍子に、黒髪が肩からさらりと流れ落ち、香水の甘い香りが強まる。
「触っちゃうの? ひどいこと言うの?」
「わ、わかんない、飲み会行かないし……僕、節操ないの、自覚してるから……」
理央はぎゅっと目を閉じる。自分の容姿で、女性には甘やかされてきた。セックスもたくさんしてきた。
だが、他人には迷惑をかけたくない。
「じゃあ、それも聞くよ。あたしと食事行くの、嫌? 何にせよ、ストレス溜まってるんでしょ」
「いいの? 気持ち悪くない?」

