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僕の愛する未亡人
第2章 はじめての社外業務①

「気持ち悪いこと、されてないもん。わかんない」
髪の毛をかきあげて、ふぅっとため息をつく。
「されないに越したことないだろうけど。スマートならOKなんじゃない?」
にやり、と冴子は笑う。
「な、えっ……」
「今週、土曜日はどうですか。佐藤くん 」
「あ、空いてるっ…… 」
「ふふ、良かった。じゃあ、携帯番号にショートメッセージ入れておくから」
冴子はそう言い残すと、マグカップを持ち上げて給湯室から出ていった。
残された理央は、胸を高鳴らせるしかなかった。
*
「……おはよう」
朝早く来たというのに、どこかぼーっとしてしまって、八時前、左の席の佳織に挨拶された時、はっと顔を上げる。
「あ、おはようございます」
「今日早かった? いつも、あたしより一本後の電車のイメージ」
パソコンを立ち上げながら、佳織は尋ねる。
「昨日早い時間に寝ちゃったんですよね。土曜日、何か興奮冷めやらぬっていうか……」
そう言いながら、興奮冷めやらぬ原因を真横にして、何を馬鹿正直に言っているんだと我に返り、左を向く。
佳織は、ふふっと笑っていた。
今朝は少し涼しかった。ダークグレーのパンツスーツに、胸元は深すぎないが、V字にカットされたブラウス。
タイトなスーツからは、丸みを帯びた体型であることが分かるが、姿勢の良さから全体が締まって見える。
ーー直接触れてしまった肌。
帰宅してからも何度も思い出し、結局ひとりで昂ぶりを鎮めるしかなかった。
視線を泳がせ、口を尖らせていると、佳織はほんのわずかに視線を外して、理央以外に聞こえない声で囁いた。
「あたしもだよ」
短い髪に無意識に触れる仕草。
その横顔に浮かぶ首筋から顎へ流れるラインは、年齢を重ねたはずなのにどうしようもなく艶っぽく、理央は息を飲んだ。
(ほ、本間さんも「興奮冷めやらぬ」だったってこと? 嫌われてない?)
「ちゃんと、気にしてるから」
佳織は立ち上がると、どこか恥ずかしさを含んだ声で理央の耳元へ身を寄せて囁く。吐息がかすかに頬をかすめ、理央は反射的に身を固くした。
すぐに彼女は体を離し、何事もなかったようにコピー機の方へ歩いていく。
丸みを帯びた体を包むダークグレーのスーツが揺れ、背筋の伸びた後ろ姿が妙に艶っぽく映った。
髪の毛をかきあげて、ふぅっとため息をつく。
「されないに越したことないだろうけど。スマートならOKなんじゃない?」
にやり、と冴子は笑う。
「な、えっ……」
「今週、土曜日はどうですか。佐藤くん 」
「あ、空いてるっ…… 」
「ふふ、良かった。じゃあ、携帯番号にショートメッセージ入れておくから」
冴子はそう言い残すと、マグカップを持ち上げて給湯室から出ていった。
残された理央は、胸を高鳴らせるしかなかった。
*
「……おはよう」
朝早く来たというのに、どこかぼーっとしてしまって、八時前、左の席の佳織に挨拶された時、はっと顔を上げる。
「あ、おはようございます」
「今日早かった? いつも、あたしより一本後の電車のイメージ」
パソコンを立ち上げながら、佳織は尋ねる。
「昨日早い時間に寝ちゃったんですよね。土曜日、何か興奮冷めやらぬっていうか……」
そう言いながら、興奮冷めやらぬ原因を真横にして、何を馬鹿正直に言っているんだと我に返り、左を向く。
佳織は、ふふっと笑っていた。
今朝は少し涼しかった。ダークグレーのパンツスーツに、胸元は深すぎないが、V字にカットされたブラウス。
タイトなスーツからは、丸みを帯びた体型であることが分かるが、姿勢の良さから全体が締まって見える。
ーー直接触れてしまった肌。
帰宅してからも何度も思い出し、結局ひとりで昂ぶりを鎮めるしかなかった。
視線を泳がせ、口を尖らせていると、佳織はほんのわずかに視線を外して、理央以外に聞こえない声で囁いた。
「あたしもだよ」
短い髪に無意識に触れる仕草。
その横顔に浮かぶ首筋から顎へ流れるラインは、年齢を重ねたはずなのにどうしようもなく艶っぽく、理央は息を飲んだ。
(ほ、本間さんも「興奮冷めやらぬ」だったってこと? 嫌われてない?)
「ちゃんと、気にしてるから」
佳織は立ち上がると、どこか恥ずかしさを含んだ声で理央の耳元へ身を寄せて囁く。吐息がかすかに頬をかすめ、理央は反射的に身を固くした。
すぐに彼女は体を離し、何事もなかったようにコピー機の方へ歩いていく。
丸みを帯びた体を包むダークグレーのスーツが揺れ、背筋の伸びた後ろ姿が妙に艶っぽく映った。

