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四谷荒木町の女〜再会の熱い夜
第2章 再会と誘惑

「……へえ。すてきな名前ね」
一瞬、間が空いたので、おやっと思った。
「その人にどんな思い出があるの」
「聞きたいの?」
「うん」
「聞いてもつまらないよ。若い頃の平凡な恋バナだからね」
「さあ。どうかしら。聞いてみないとわからないわ」
はるか昔に好きだった女の話を、初めて訪れた、ふらっと立ち寄っただけのスナックで、しかも今夜で閉めてしまう店のカウンターで、いい女のママと二人で並んで酒を飲み交わしながら語るなんて思ってもみなかった。
「ちょっと待ってね」
スツールから降りたママが入口ドアの鍵を掛けた。
「これで邪魔が入らないから」
「いいのかい。ほかのお客さんが入れなくなるよ」
「いいの。どうせ今夜は一人で過ごそうと思っていたから。お客さんのお名前は? まだ聞いていなかったわ」
「……神岡。神岡真司という」
「……それは……かっこいい名前ね」
なぜか咄嗟に、本名ではなくペンネームを名乗った彼へ、なぜかママの相槌が一瞬だけ遅れた。変な空気が流れたのを真司は笑ってごまかす。
「ハハ。ありがとう。ママは美和さん?」
「……えっ」
一瞬、間が空いたので、おやっと思った。
「その人にどんな思い出があるの」
「聞きたいの?」
「うん」
「聞いてもつまらないよ。若い頃の平凡な恋バナだからね」
「さあ。どうかしら。聞いてみないとわからないわ」
はるか昔に好きだった女の話を、初めて訪れた、ふらっと立ち寄っただけのスナックで、しかも今夜で閉めてしまう店のカウンターで、いい女のママと二人で並んで酒を飲み交わしながら語るなんて思ってもみなかった。
「ちょっと待ってね」
スツールから降りたママが入口ドアの鍵を掛けた。
「これで邪魔が入らないから」
「いいのかい。ほかのお客さんが入れなくなるよ」
「いいの。どうせ今夜は一人で過ごそうと思っていたから。お客さんのお名前は? まだ聞いていなかったわ」
「……神岡。神岡真司という」
「……それは……かっこいい名前ね」
なぜか咄嗟に、本名ではなくペンネームを名乗った彼へ、なぜかママの相槌が一瞬だけ遅れた。変な空気が流れたのを真司は笑ってごまかす。
「ハハ。ありがとう。ママは美和さん?」
「……えっ」

