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四谷荒木町の女〜再会の熱い夜
第2章 再会と誘惑

「ママの名前だよ。表の看板に"美和"ってあったから」
「あ、うん。そう。美和です」
三杯目のビールを口に運ぶ。ママのグラスにも注いでやった。
「それで? どういう人なの?」
横から覗き込まれた。大きな目と赤いルージュを引いた唇が蠱惑的だ。
「大学生の頃に付き合っていたんだ。好きだったんだけどね。いろいろあって別れた」
「ふうん。卒業してから会っていないの?」
「ああ。東京から、実家のある静岡へ帰ってしまったんだよ。それきり会っていない。もう二十年以上も前の話だよ」
「そうなんだ」
「そう。ほら、やっぱりつまらない」
照れ笑いしながら茶化してみたものの、それに返事をせずに、ママはこう言った。
「その人とわたし、似ているのね」
「あ……うん。そっくりだ」
遠い記憶に時の流れを加味したら、と続ける。
「二十年以上も経っているのに、まだ覚えているんだ」
「そう。諦めが悪い男なんだよ」
沈黙が降りる。店の外の、街の喧騒が聞こえてきた。
……そろそろ……か。
閉めるつもりだった店に長居するのも悪い。元々、ちょっとだけのつもりだったのだ。
「あ、うん。そう。美和です」
三杯目のビールを口に運ぶ。ママのグラスにも注いでやった。
「それで? どういう人なの?」
横から覗き込まれた。大きな目と赤いルージュを引いた唇が蠱惑的だ。
「大学生の頃に付き合っていたんだ。好きだったんだけどね。いろいろあって別れた」
「ふうん。卒業してから会っていないの?」
「ああ。東京から、実家のある静岡へ帰ってしまったんだよ。それきり会っていない。もう二十年以上も前の話だよ」
「そうなんだ」
「そう。ほら、やっぱりつまらない」
照れ笑いしながら茶化してみたものの、それに返事をせずに、ママはこう言った。
「その人とわたし、似ているのね」
「あ……うん。そっくりだ」
遠い記憶に時の流れを加味したら、と続ける。
「二十年以上も経っているのに、まだ覚えているんだ」
「そう。諦めが悪い男なんだよ」
沈黙が降りる。店の外の、街の喧騒が聞こえてきた。
……そろそろ……か。
閉めるつもりだった店に長居するのも悪い。元々、ちょっとだけのつもりだったのだ。

