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僕の母さん
第7章 母、真弓の憂鬱
お店のテーブルに座って食事を始めたものの、
アスリートと呼ばれる彼らの胃袋を甘く見ていた。
食べるわ飲むわで佐智子と真弓は財布の中身の心配をせざるを得なくなってしまう。
奢ってあげると大見得を切った手前、
やっぱり割り勘にしましょうとも言いづらく
佐智子と真弓は苦笑するしかなかった。
だが、そんな彼らの健啖ぶりに、いつしか緊張の糸もほぐれて和気あいあいとなってくる。
特にお気に入りの真壁と隣り合わせに座った佐智子は
最初こそ緊張して猫を被ったようにおとなしかったが
大好きなお酒をぐいぐいと煽ると、次第に酔いの勢いも手伝って、そのうち真壁くんに寄りかかったりして陶酔の笑みを浮かべるほどだった。
「前に座ってる二人、お似合いですね」
真弓の隣に座っている大学生のバイトくんは
体を密着させている二人を見て羨ましがっていた。
「君も、こんなおばさんで良ければ肩を貸してあげるわよ」
「真弓さんはおばさんなんかじゃないですよ!」
「まあ、バイト君もお世辞が上手いのね」
「お世辞なんかじゃないです
それに、僕には辰巳壮亮って名前があるんだから、いつまでもバイトくんって呼ばないでください」
「あら、すねちゃった?
そんなところも可愛いわよ壮亮くん」
子供扱いされようとも、壮亮と名前を呼んでくれたことに気をよくして、彼はニンマリとにやけた顔をした。

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