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僕の母さん
第7章 母、真弓の憂鬱
ここはどうかしら?と
佐智子は無言でスマホ画面を真弓に見せてくる。
「ちょっと…招待してあげるのは彼なんだから、真壁くんにこの店はどうかしら?…って自分で言いなさいよ」
ほらっ!と、真弓は佐智子の手首を取って、彼にスマホ画面を見せてあげた。
「えっ?ホントに?
ここに連れていってくれるの?」
真壁は喜んで佐智子の顔を覗き込む。
こんなにも至近距離で見つめられたこともないから、
佐智子は今にもぶっ倒れそうなほど緊張して、
乙女のように憧れの彼と目をあわせて瞳をウルウルさせていた。
「じゃあ、決まりね
今夜、何時に終わるの?」
「八時にはシャワーも済ませて着替えも終わります」
「それじゃ、八時過ぎに裏口で待ってるわね」
そう伝えると真壁は嬉しそうに「絶対ですよ!都合が悪くなったなんて言い出すのはナシですからね」と、小躍りしながらプールに戻っていった。
「ちょっとぉ!佐智子ったら無口になっちゃってどうしちゃったのよお」
彼が去ったので、いつもの佐智子に戻って、
「ありがとぅ~!食事会をセッティングしてくれて!」と
まるで大きなプレゼントをもらったかのように佐智子は真弓をハグした。
その頃、図書館では達郎が彩也香と二人並んでノートにペンを走らせていた。
夏休みの宿題をするというよりは、成績が優秀な達郎が彩也香の家庭教師をしているかのように教えてあげていた。

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