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僕の母さん
第11章 それぞれの姫始め

「僕は家には帰りたくない…」

どうせ、大人達は飲んだくれて、そのうちイチャイチャし始めるのだろう。
母が男に体を触られて嬉しそうに恥じらった微笑みを浮かべる姿なんて見たくもなかった。

「別に達郎の家に帰ろうって言うんじゃないのよ
どちらかと言えばここからなら私の家の方が近いんだし」

ね、うちにいらっしゃいよと彩也香は自宅に達郎と引きこもる事を提案した。
体も冷えてきたし、彩也香ではないけれど、達郎も尿意を催してきた。

「それ、いいね、ヨシッ!決まりだ。彩也香の家に行こう」

そうと決まれば、こんな人混みでウロウロしている場合じゃないと、彩也香の手を引いて歩きだす。

来るときは手を引かれる事を拒んだ彩也香だったが、
このときばかりは彼女から達郎の手をぎゅっと握り返してきた。

その頃、達郎の家では…

達郎が予想した通り、二組のカップルは子供達がいなくなった事で、堂々とイチャつき始めていた。
アルコールもたっぷりでしたたかに酔って、もう一組のカップルが間近にいることさえ忘れて堂々と体をペッティングし合う。

酔いの浅い真弓が胸に伸びてくる辰巳の手を拒む。

「ダメよぉ…お客さまがいらっしゃるのよ」

「いいじゃないか、僕たちは婚約しているんだよ
誰にも遠慮はいらないさ
そうでしょ?真壁さん」

「うん、そうだよ。愛し合っている二人の行為は誰にも咎めることはできないさ」

僕たちも婚約こそしていないが、
気持ちはすでに夫婦なんだ。

そう言いながら、真壁は佐智子に覆い被さり彼女の唇を奪う。

「ちょ、ちょっと!あなた酔いすぎだわ」

そんなことを言いながら、酒の席での不埒な行為を受け入れる。
重ねてきた真壁の唇を逆に割って舌を忍ばせてゆく。

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