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僕の母さん
第10章 除夜の鐘
女性陣の頑張りで、予定よりも早くおせち料理は完成した。
「じゃあ、明日はお昼前の11時に集合でいいわよね」
おせち料理を作り終わって、ホッとした表情を浮かべながら、
心なしか佐智子の態度がソワソワしていた。
佐智子と彩也香の母娘が達郎の家を去ってゆくのと同時に
「佐智子、たぶん彼氏が出来たんだわ」と母の真弓がポツリと告げた。
「えっ?何でわかるの?」
真弓も佐智子の娘の彩也香同様の事を感じているので、達郎は驚いた。
「わかるのよ、女にはね…」
これでは達郎が鈍感みたいではないか、
癪に触るので、達郎も彩也香が言っていた『きっと真弓おばさまにも彼氏がいるんだわ』という言葉を思い出して
「母さんはどうなの?まさか僕がいるのに男を作ったりしてないよね?」と訊ねてみた。
「それは…」
言いよどんだ母の態度で彩也香が言っていたように、母にも彼氏がいるんだなと気づいた。
「達郎、実は母さんね…」
真弓が辰巳からプロポーズを受けたことを告白しようとしたが、
それは聞きたくないとばかりに「お腹が減ったな…年越しそばを作ってよ」と達郎は母が告白するのを制した。
ズズズっとそばを啜りながら、
無言の時間が流れてゆく。
真弓は辰巳からプロポーズを受けて有頂天になっていたが、
実際は息子の了承も得なければいけないし、とりわけ彼のご両親に結婚を認めてもらえるかどうか不安だった。

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