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僕の母さん
第9章 クリスマスプレゼント
今夜もまた母さんは仕事で遅くなるという連絡があった。
二学期もあと残りわずかという時期に差し掛かっていた。
あの灼熱の夏の日が嘘のように寒くなり、
外出するのも億劫になってきたので、母の帰りが遅くなっても、外出してまでファミレスなどに食べに行こうとも思わなかった。
幸いなことに、母が帰りが遅くなる日があろうかと、
冷凍庫には作りおきのおかずがたくさんあるので、真弓が家を明ける日があっても食事にはまったく困らなかった。
ただ、部屋にポツンと一人だけでいると退屈で仕方ない。
でも、親友と呼べる友達もいなくて
クラスでは陰キャラの達郎にLINEで構ってくれる友人もいなかった。
ただ一人、心を許せる相手として彩也香がいたけれど、
あの夏休みの午後、バージンを喪失させてしまってからは音信不通となった。
いくらLINEで連絡を取ってみても既読にならず
彼女から連絡してくることもなかった。
『あいつ、中だしをしてしまったことをまだ怒ってるのかな…』
達郎が彼女から敬遠される理由は、やはりそれだと思わずにはいられない。
だが、そのあと、妊娠してしまったから責任を取れとも、
どうしよう?という連絡もないので妊娠だけは避けることが出来たと思っている。
やがて、学校の制服も夏服から冬服に代わったけれど、
達郎の心の中はポッカリと穴が空いたままだった。

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