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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第11章 月下美人のデカダンス
自身のへそに向かって反り立った肉棒を葵の方に向けて、小鳥が啄むように先端で肉ひだをなぞった。

「んっ…」

葵も既に十分潤っていて、肉壁を押し広げながら裕樹を奥へと受け入れていく。

根元まで咥え込むように締め付けられ、体重が裕樹の太腿へと預けられる。

それは重さではなく、むしろ心地よい温もりだった。

葵の奥に受け入れられた瞬間、二人の吐息が至近で絡み合った。

額に張り付いた髪が頬にかかり、首筋をつたう汗が胸の間に滑り落ちていく。

淫れたその姿は、まるで堕ちていく過程そのものを象徴しているようで、目を逸らすことができない。

葵もまた裕樹を見つめ返す。

その瞳は優しさでも拒絶でもなく、ただ抗わずに受け入れるしかないという諦観の色を帯びていた。

──これが最後かもしれない。

裕樹は頭の片隅でそんな予感が過っていた。

葵の身体の形を確かめ、鮮明に記憶するように無意識に力がこもる。

丁寧な手つきで胸からウエストに触れながら、首筋を食むように舌を這わせる。

「あっ、…やんっ…」

葵の腰から愛の雫が溢れ出たかのように、繋がった部分は泥濘のように熱を帯びていた。

顔を胸に埋めると、頬に触れる柔らかく弾力のある乳肉の感触が、息苦しいほどの甘さをもたらす。

腕の中で葵の腰の細かい震えが、裕樹の指先や太腿に伝わり、共鳴するように鼓動を速めさせた。

「んっ…あ、…」

小さく浅い息が混ざった声が、耳元で甘く零れる。

切なげに目を細め、時おり唇を舐める仕草と、葵の荒い息遣いが耳朶をかすめるたび、直接脳を痺れさせるように快楽を煽ってくる。

視線を絡ませたまま、どちらも言葉を見つけられない。

ピストンの上下運動のような、派手な動きは裕樹にできなかった。

硬い床の上で、互いの体重を支えるには限界があり、それをカバーできる程のテクニックも持ち合わせていない。

繋ぎ止めるように抱いた背中と、僅かに前後する腰の揺れだけで、二人は小屋の中で深く溶け合っていく。
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