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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第10章 雷雨に綻ぶインモラル
「あっ……、だめっ…」

葵が震えて、膝から力が抜ける。

倒れまいとするように、葵の腕が裕樹の首へと必死にしがみついた。

その体重を丸ごと裕樹は受け止め、抱え込むよう扉際へとそっと座らせる。

扉を背に、体を小刻みに震わせていた葵は、外から丸見えであることに気づいて、力なく自身の体を両腕で隠した。

快楽に溺れながら、外から見られているかもしれないという葵の焦燥感が裕樹にも伝染し、心拍数が上がっていくのを感じる。

(葵ちゃんも多分そうだけど、ここにいるのが、すごくドキドキする…)

誰もが抗えず破滅へと引きずり込まれるその快楽に、裕樹はむしろ身を委ねたいと渇望していた。

裕樹はカメラの前まで向かい、葵と交わっていた湿ったバスタオルとクッションを拾い上げる。

もう録画のことなど、考えてはいなかった。

3つ目のコンドームを片手に持ち、崩れ落ちた葵の前に歩み寄る。

蕩けた表情で沈み込む葵の傍らで、焦燥に駆られるように、タオルとクッションを無造作に投げ出す。

「葵ちゃん、ここにきて。」

裕樹が指さすバスタオルは、葵のすぐ目の前に敷かれていた。
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