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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第10章 雷雨に綻ぶインモラル
ぺたんと座る葵の元へと裕樹は歩いていく。

葵を見下ろすように視線を下げると、葵は頬を上げて裕樹を上目で見つめ返す。

快楽と疲労が目の奥に宿っていて、その表情は戸惑いながらも抗う事を放棄しているようだった。

「こっちきて…」

細い腕を掴むと、葵は小さく息を呑んで、従順にゆっくりと立ち上がった。

肩に手を添えて、小屋の扉の方へと導くと、夜気が二人の体を撫でる。

外からは死角になる位置で、裕樹は立ち止まる。

お互い向き合うようになると、葵は眉を下げて、瞳を揺らしながら裕樹を見つめ返す。

それは拒絶の視線ではなく、これから何が起きるのかを測りかねているような目だった。

両腕を伸ばし、葵の肩に触れている手に力を込めると、葵の体は緩やかに後ろへと追いやられた。

まるで、逃げ道を塞がれた獲物が、狩り場の隅へと追い込まれていくように。

背中が冷たい木の板に触れた瞬間、葵の肩はびくりと跳ねた。

「っ…見えちゃうよ…」

葵の肩は強張って、小さく吐き出した声は怯えの感情が滲む。

裕樹は葵の言葉を無視して、さらに体を押し付ける。

木の扉に背を縫い止められた葵のデコルテに、頬を埋めると柔らかい肌の感触が伝わってくる。
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