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純潔の檻 ―敵国の騎士に囚われて―
第1章 堕ちた城
玉座の間に通されたとき、そこにいたのはゼノに似た気配の男だった。

だが、彼はゼノよりも老練で、どこか残酷な微笑をたたえていた。

「よく攻め倒した、ゼノ!」

ヴァルゼン帝国皇太子――ゼノの実兄、カイル・ヴァルトハルト。

その男が玉座から立ち上がると、弟の肩を叩き、声高らかに称えた。

「そして……ほう、これは?」

視線が私に向けられた瞬間、その目がわずかに細められた。

まるで品定めをするように、私の身体を舐めるように見ている。

ゼノは一歩前に出て、無言のまま私の背を押し、兄の前に立たせた。

「そして兄上。美しい戦利品を、お持ちしました。」

その声は落ち着いているようで、どこか硬かった。

私は唇をきゅっと噛んだまま、皇太子を見上げる。
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