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社長は彼女の“初めて”を知っている
第2章 一夜
「玲奈、大丈夫か?」

目を開けると、そこにはとても優しい、穏やかな加賀見さんの顔があった。

汗に濡れた髪の隙間からのぞく瞳は、
いつもの社長の顔じゃない。

恋人のようで、誰よりも近くにいてくれる、大切な存在の顔だった。

私はそっと頷いて、小さな声で答えた。

「……うん、大丈夫。……すごく、幸せ。」

体は少し痛い。

でも、心がとても満たされていた。

もう、私は“知らない女の子”じゃない。

この人に抱かれて、ようやく本当の意味で“愛されること”を知った気がした。

「……もう一回するよ?」

耳元にそっと落とされた声。

その低さと熱に、体がひとつ震える。

「……もっと?」

私がそっと問い返すと、

「うん。もっと。玲奈の“初めて”……まだ、全部感じたい。」
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