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社長は彼女の“初めて”を知っている
第2章 一夜
「……くっ」

彼の熱が、ゆっくりと私の中に押し寄せてくる。

初めて知る感覚に、体がこわばった。

「玲奈、力抜いて。大丈夫だから。」

彼の手が、私の髪を撫でる。

その瞬間、痛みが体を突き抜けた。

「……っ!」

目をぎゅっと閉じて耐えると、すぐに彼の腕が、そっと私の背中を抱きしめてきた。

「玲奈の……初めて、もらった。」

その声が、耳元で優しく響く。

目を開けると、加賀見さんが微笑んでいた。

「……嬉しい?」

そう尋ねると、彼は真っ直ぐ頷いた。

「こんなに……いい女の初めてだぞ?嬉しくないって言ったら、嘘だろ。」

その言葉に、また涙が出そうになった。

私は“セクシーなだけの女”じゃない。
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