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社長は彼女の“初めて”を知っている
第2章 一夜
それだけで、ずっと探していた“あたたかさ”に触れた気がした。

「……俺に後悔させるなよ。」

低く囁かれたその声に、私はただ、かすかに微笑んで──首を横に振った。

(私は、もう──戻れない)

加賀見さんの手が、私の服にそっと触れた。
指先は、ためらうようでいて、どこか決意を持っているようだった。

「……脱がすぞ。」

その声に、私は頷いた。

唇をきゅっと結んで、目をそらす。

布が肌を離れていく感触が、妙に敏感に感じられる。

背中、肩、胸……。

「あっ……」

思わず声が漏れる。

寒さではない。

彼の視線に、肌がさらされていく感覚に、体が熱を帯びていく。

ブラのホックが外され、ショーツが引き抜かれる。

私の全身が、彼の目にさらされる。
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