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第39章 番外編　その２　『私』の誕生日③

『場所も六甲山の山の中で
周囲に建物もありませんし。
熟年夫婦の旅行に人気ありそうですね』

お部屋の前には…パネルが
掲げられていて。
私達が今日利用するお部屋は
合歓木（ねむのき）と言うお部屋。

旦那さんは露天風呂付とか
プール付きのお部屋が好きだけど
和風な感じのお宿だし、
和風のお庭に露天風呂が
あるのかな？？って思いながら
お部屋の鍵を開けて貰って
お部屋の中に入ると。

お部屋のドアから入った所も
ちょっとした玄関になっていて。
室内履きの使い捨ての
スリッパを置いてくれているので
ここでスリッパを履き替える。

『来るの初めてですけど、
なんか自宅ぽいと言うか
ただいま～って言いたくなる
雰囲気があるますよね？』

「うん、私も今、一瞬
ただいまって言いたい気分になったよ」

廊下の所にミニバースペースが
あって、エスプレッソマシンや
ケトルなんかが置かれている。

廊下の突き当りが和室になっていて
床の間には掛け軸が飾られている。
この掛け軸も月で変わるのか
お月様とウサギの絵だから
９月の絵柄って感じがする。

和室のテーブルの上にも
お菓子が用意されていて。

和室の奥にお庭が見えている。

「わぁ、凄い…専用の庭園があるの？」

『巴、ここから外に出られますよ』

カラカラカラとガラス戸を
旦那さんが開けてくれて
大きな石がステップ代わりに
置かれていてその上に
外履きの下駄がサイズが小さめの
女性用のと大きめの物とが２足ずつ
置かれているから４人部屋なのかも？

和室の座椅子も４つあるから
４人まで使えるお部屋みたい。

旦那さんが先に外に出て
お手入れがされているお庭
ではなくてそのお庭の木の間から見える
神戸と大阪の景色を眺めていて。

『巴、万博会場の方まで見えますよ』

万博会場の大屋根リングが
見えると旦那さんが言うので
旦那さんが指さしている方を見て。

「海遊館の方も見えるね…」

『夕飯まで時間ありますし
ここで…コーヒー飲みましょうよ』

巴は座ってて下さいと言われて
お庭はL字型になっていて
和室側から洋室のベッドルームの
方側に伸びている感じで。