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第12章 ７月１０日　旦那さんのお誕生日　～朝から昼～

そんな私の心配は…、
無駄な物に終わって…。
モニターに私達の注文した番号が
表示されて。旦那さんが自分の分と
私の分を取りに行ってくれた。

『はい、どうぞ、こっちが
巴の分ですよ、ちょっと待ってて
下さいね。僕、自分の分取って来るんで』

「うん、ごめんね。ありがとう」

さっきお水を取りに行って貰ったから
気にしないで良いですよと言われて。
旦那さんの言葉に甘えさせて貰った。

私が頼んだのはソーキとてびちのそばで
トッピングのお肉とかまぼこは
そばの上に乗せてあって
ネギとショウガとヨモギは
別の小皿に盛られて添えてあったから。
苦手な人への配慮もされているみたい。

旦那さんの注文したボリューム
万点のお肉３種盛のフェーレーそば。

「聞き慣れない言葉だけど、
フェーレーってなになんだろ？」

『確かに…沖縄の言葉なんでしょうけど
聞いた事ないですね…、調べてみますね』

といつもみたいにスマホの
音声検索でフェーレーの意味を
旦那さんが自分のスマホで検索していて。

フェーレーと言うのは、
沖縄の言葉で追いはぎ、
山賊の事を表す言葉みたいで。

恩納の多幸山にはフェーレー岩って
琉球石灰岩の大きな岩があって
街道を歩く人の荷物を
その大きな岩の上から、
長い棒を使って釣り上げて奪っていたみたいで。

その岩のある辺りが街道の中でも
急こう配な難所と呼ばれている
場所だったのだそう。

『じゃあ、山賊そばって事ですね』

「じゃあ、お肉が３種類乗ってるのは
ほかのそばから奪い取ったお肉って事」

そんな風に思うと面白いねって
そんな話をしながら、さっぱりとした
スープには鰹節ベースの魚介の
旨味が染み出ていて。

自家製麵の麺はもちもちとした
歯ごたえのある感じで。
ヨモギをトッピングした沖縄そばは
私は初めて食べたから新鮮な感じで。