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第33章 命の恩人

「陽菜っ！」


　真っ先に真人お兄ちゃんが私のそばに駆け寄ってきた。


「大丈夫なのか！？」


　ベッドサイドから私の顔を覗き込んだ真人お兄ちゃんの顔は今まで見たこともないくらい真っ青で、私のことを本当に心配しているみたいだった。


「大丈夫だよ、お兄ちゃん」

「……良かったっ……」


　私がニコッと微笑むと、真人お兄ちゃんはヘナヘナとベッドサイドに座り込んだ。


「陽菜が倒れて入院してるって聞いたから、気が気じゃなくて……。本当に無事で良かった……！」

「お兄ちゃん……心配かけてごめんね」

「俺こそ、ごめん。あんなことがあったのに、陽菜が無理してるの気づいてやれなくて……」


　真人お兄ちゃんは周りに一ノ瀬社長たちがいることに気づいてないのか、いつものように私の手を握った。


「仲の良い、ご兄妹なんですね」


　瀬名さんが声をかけたことで、真人お兄ちゃんはハッとして、初めて周りの状況に気がついた。


「陽菜……大丈夫かい？」


　そしてお父さんが心配そうな眼差しで、私に声をかけてくれた。