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第24章 メイドカフェのバイト

「いててて！　わかった！　離すから、やめてくれ！」


　おじさんは私の手首を離すと、よろめきながら一目散に去って行った。


「陽菜、大丈夫かい？」


　お父さんは呆然としている私の元に来て、声をかけてくれた。


「お父さん……、私っ……」

「もう大丈夫だよ、陽菜。よく頑張ったね」


　お父さんは泣きそうになる私を抱きしめてくれた。どうしてお父さんがここにいるのかわからない。まだ約束の時間まで二時間あるのに……。


「……やっぱりお前を働かせるべきじゃなかったな」

「えっ……」

「心配でたまらない」


　そう言うとお父さんは私を強く抱きしめた。


「陽菜っ！」


　その時、真人お兄ちゃんの声が聞こえて振り返ると、真人お兄ちゃんが切羽詰まった表情で階段から降りてきた。


「陽菜……と、親父！？」

「真人、どうして陽菜から目を離したんだ」

「ごめん、もしかしてやっぱり何か……」

「陽菜はエレベーターの中で客に襲われていたんだよ」

「！」

「お父さん、違うの！　お兄ちゃんは関係ないの！　私が間違った行動したから、自分の責任なのっ……。だから、お兄ちゃんを責めないで……」