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第20章 謝罪と嘘

「！」


　静江さんは泣いていた。一筋の涙が頬を伝って流れている。私はそれを見て胸がざわついた。


「ごめんなさい、私っ……」


　するとお父さんがソファーから立ち上がり、静江さんのそばまで歩いてきて、静江さんに手を差し伸べた。


「とりあえず、座って話しませんか」

「お義父さん……ありがとうございます」


　静江さんはお父さんの手を取り、ゆっくりと立ち上がる。私はそれを見て激しく嫉妬した。


「陽菜も、おいで」

「……」


　お父さんに声をかけられ、私は無言で真人お兄ちゃんの隣に座った。


「大丈夫か、陽菜」


　真人お兄ちゃんは私を心配して声をかけてくれる。私は小さく頷いて、静江さんが大翔お兄ちゃんの隣に座るのを目で追った。


「私が謝罪した理由は……大翔とのことで陽菜ちゃんをすごく責めてしまったことです。皆さん、もうご存知ですよね？　大翔と陽菜ちゃんが兄妹でありながら、肉体関係であること……」

「！」


　私は静江さんの告白に絶句した。