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第12章 浴衣でお祭りデート

「俺の妹に中出ししていいのは、俺だけなんだよっ！！　ゴラァ！！」


　真人お兄ちゃんがそう叫ぶと、三人の男たちは「は？　何言ってんのお前」「まさか兄妹で？」「ありえねー」そう口々に言いながら去っていった。


「お兄ちゃんっ！！」


　私は暗闇の中で、真人お兄ちゃんに抱きついた。


「陽菜！　大丈夫か！？」


　真人お兄ちゃんは私をギュッと抱きしめてくれた。


「お兄ちゃんっ……怖かったよぉ！」


　真人お兄ちゃんの温もりを感じたら、涙が出てきた。


「ごめんな、陽菜っ……。お前を一人にさせるんじゃなかった……！」


　真人お兄ちゃんの私を抱きしめる力に手がこもる。


「……お兄ちゃんっ……」


　真人お兄ちゃんは私が落ち着くまでしばらく抱きしめてくれた。


「陽菜……大丈夫か？」

「……うん、少し落ち着いた」

「浴衣、直せるか？」

「うん……」


　私は手探りで襟元と裾を戻した。でも髪のグシャグシャは直せない。


「陽菜、親父が迎えにきてる。とりあえず、駐車場に行こう」

「……」


　私は地面に落ちていたスマホとポーチを拾うと、真人お兄ちゃんに支えられながら駐車場へと向かった。