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わたしの妄想日誌
第15章 里帰り
 「まあ、アホな男もいっぱいおるってことやわね。まあ、お父ちゃんも明日、婦人会があるってわかってるなら、やっぱり明日も帰って来んわ。それがアホなり気遣いってもんやわ」

 呆れた口調で姉が言います。

 「お姉ちゃんもヒマなんやし、一緒に婦人会に行ってくればいいんやないの?」
 
 今度はわたしが姉を冷やかしてみました。姉もそろそろ三十路が見えてきています。誰かと付き合ってはいるようですが、年末年始は実家で過ごしています。

 「先輩方のえげつない話はからだに毒やわ。だいたいみんな四十は過ぎとるやろうに、わたしなんかまだまだひよこやわ。わかってるくせに」

 (わかってるわよ。歳さえ気にしないでいいなら、お姉ちゃんも『婦人会』に行きたいってこと)

 「お姉ちゃん、耳年増なんやもん、全然問題ないんやないの?」

 姉が付き合っているのがどんな男性かは知りません。一度、母に姉のことを訊いたことがありましたが、母は『まあ、あの子なりに考えているんやろ』だけ言っていました。

 「しつこいな。あーあ、なんかやってないかな…」

 わたしはテレビのスイッチをつけました。歌謡ショーのような音がしばらく聞こえた後、ようやく画面が浮かび上がりました。

 「いつまでしてるの? OL」

 頬杖をついて画面を見ていた姉が尋ねてきました。

 「え? うん…」

 わたしも画面を見たまま曖昧に返事をしました。

 「人のことはよう言えんけど、あんたもそろそろ寿退職の話が出たりしてるんやないの?」
 「ん…まあね」
 「歳が近いといろいろ面倒やわ。あんたも結婚するんならうんと年上か年下にしときや」

 『うんと年上』と聞いて不意に上司の顔が浮かびました。妻も子もある人と結婚するつもりはありませんけど。

 たしかに歳は離れていた方が面倒なことはないかもしれません。わたしも上司にとっては面倒のない女なのでしょう。ただ、からだだけの関係なのですから。

 だからこそ、昨日、旅館を出るときに(いつまで続けるつもりなの?)という声が聞こえたのかもしれません。

 「結婚ねぇ…」 
 「会社には男がいっぱいおるんやろ? わたしもすぐに会社辞めたりしなきゃよかったなぁ」
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