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わたしの妄想日誌
第13章 承認欲求
 「誤解なさらないでくださいね。ただ、奥さんともう少し落ち着いてお話をしたくて。喫茶店ですと、どうしても周りの目が気になりますから……」

 “お話をしたくて”

 その言い方が、かえって心を揺さぶりました。わたしが”誤解”していること…いえ”誤解”の意味をを期待していることを見抜いている

 「奥さんのご負担にならない場所でいいんです。もし…ご迷惑でなければですが」

 わたしは静かに息を吸い、そして小さく吐きました。

 (迷惑…なわけ、ない)

 でも、その気持ちをそのまま口にはできません。

 「わかりました。人の目のないところですね…?」

 自分の声が、驚くほど静かでした。

 「もちろんです。奥さんのお家からはまたちょっと離れますが、□□駅で待ち合わせませんか…?」
 「…大丈夫です。行けます」
 「ありがとうございます。では、明日の十時くらいでご都合いかがですか?」
 「はい。大丈夫です」
 「では…明日、十時、□□駅でお待ちしております」

 電話が切れると、わたしの手のひらには、うっすらと汗が滲んでいました。

 翌朝、目覚ましが鳴ったとき、胸の奥がいつもより少し早く脈打っているのがわかりました。夫と子どもに朝食を出し、台所に立ちながら、わたしは時計を何度も見ていました。

 (十時…□□駅)

 夫が出勤し、子どもも登校していくと、部屋にはわたし一人になりました。カーテンの隙間から朝の光が差し込んでいます。

 (どんな格好でいけばいいかしら…)

 エプロンを外して鏡に向かったとき、わたしは迷いました。派手にするわけにはいかない──その一方で、どこかで“少しだけ見てほしい”と思っている自分がいました。

 (下着はいつものでいいのかしら…)

 ふとそんなことが頭を過りました。でも、いざそのようなことになったとき、いくらか派手めな下着をつけてきたわたしを、△△さんがどう思うかが不安になりました。そして、何もなかったときでも、勝手に舞い上がっていた自分が少し哀れであるようにも思いました。

 結局、少しだけ髪を整え、昨日より薄めに口紅を差すだけにしました。家を出ると、風が頬を撫でました。

 (…行くんだわ、わたし、本当に)
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