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大きなクリの木の下で
第5章 拉致監禁

- 荒らされるもなにも、ほんと生活感のない殺風景な部屋でしたよ。
もういいでしょ!こっちは晩飯の途中なんですよ -

そうぶっきらぼうにいい去ると、インターホンはガチャリと切られた。

「どういうことなんでしょ?」

困り果てて静香が竹本を見つめてきた。
至近距離で見つめられて、思わず竹本は赤面してしまう。
平常時であるならば、欲情して唇を奪いたい衝動にかられるのだろうけど、今はそんなことをしている場合ではなかった。

「たぶん、会社にも無断欠勤しているのでしょう
だから会社は親御さんに連絡をして上京してもらって部屋を確認したのではないでしょうか?
おそらく、その足で警察に出向いて失踪届けも提出していると考えていいでしょうね」

「美代子のバカ!…どこに行っちゃったのよ」

とりあえず部屋の中で孤独死を迎えているという危機は脱したのだが、かえってそれが音信不通になっている不安を募らせた。

「とりあえず、もうしばらく様子を見ましょう」

素人が一人の女性の追跡調査なんて出来るはずもない。
悔しいかな、これ以上どうすることもできない。

「今夜は解散しましょう」

果報は寝て待てと言うでしょ。
そのように焦る静香を納得させて、タクシーを拾って静香を乗せた。
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