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大きなクリの木の下で
第14章 竹本伸和の正体

「まあ…そうですねえ、
時代は令和になったことだし、後先、順番が逆でも本人たちが幸せならそれでもいいんじゃないでしょうか」
人の価値観なんて、それぞれですから
当たり障りのない言葉で静香はうやむやにして逃れた。
「でも、彼女が辞めたとしても、こんなに大きな病院だから痛くも痒くもないでしょ?」
不毛な会話はこれぐらいにしましょうと、竹本は話題を切り替えることにした。
「それが大有りなのよぉ
確かにナースの人数は足りているように見えるかも知れないけれど、シフトってものがあるのよ!
今夜から彼女一人がいないことで他のメンバーに皺寄せが来るの」
そこで相談なんだけど、と
大沢は静香に一歩近づいた。
「あなた、今夜はここに泊まってくださらない?
せめて、この人だけでもお世話をお願いしたいのよぉ」
なるほど、少しでも自分達の負担を減らしたいというわけか…
「よせよせ、ソファに体を横たえても疲れるだけだよ」
「大丈夫よ、私、そういうのに慣れているから」
竹本は静香の体の事を気づかったが、静香は一向にかまわないと病室に泊まる気満々だった。
「よかったわ~、じゃあ、竹本さんの事は全面的にお任せしてもかまわないわよね?」
「ええ、お任せください
面倒を見ると言っても夜間に尿意を起こさなければ朝までぐっすり寝てくれるでしょうしね」
初めての病室で付き添いでのお泊まりに
静香は興奮して自分が寝れないのではないかと思った。

