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大きなクリの木の下で
第8章 外泊許可

アクメの失神から静香が目覚めたのは翌朝の事だった。

『私ったらバスルームで眠ってしまっていたのね』

体を起こそうにも、なんだか体の自由がきかない。
おまけにめまいがして目が回る。
それと共にとんでもない悪寒が静香に襲いかかった。

意外とバスルームというのは冷える。
防水シールドの床は氷のように冷たく、そんな床に一晩中裸で横たわっていたのだから風邪をひくのも当然だった。

這うようにしてバスルームを抜け出すと寝室に戻り、
体温計で体温を確かめてみると39度もの発熱していた。
体の震えが止まらない。
なんとか体を温めなくてはとスエットを着用したが意識が朦朧としてくる。

ヤバい…!

発熱外来を受診したくても、とてもじゃないが一人で行けそうもない。
こういうとき独り暮らしは厄介だ。
恥を承知で静香は119番に連絡した。

- はい、こちら119番です。
消防ですか?救急ですか? -

「救急車をお願いします」

- 救急ですね、必要なのはどなたですか? -

「私です」

- わかりました、通報者ご自身ですね? -

早く来て…!!

氏名と住所を告げるのがやっとだった。
そちらにすぐに向かいますという声を聞いて再び静香は気を失った。


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