この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
大きなクリの木の下で
第6章 救急病院にて

竹本が眠りから目を覚ますと
そこは病院のICUだった。
体を起こそうとすると身体中に激痛が走った。
「あっ!目が覚めたんですね?
今すぐ先生に来てもらいますから、そのまま安静にしておいてくださいね」
パタパタと小気味良い足音を残して若いナースがICUの小部屋から出ていった。
すぐさま白衣のドクターが先ほどのナースと一緒になって現れた。
その後ろに目付きの悪い二人の男がスーツの上に簡易の使い捨て白衣に身を包んで待機している。
一目見ただけで、その二人が警察関係なのだと察しがついた。
「どこか痛みますか?」
痛いのを承知しながら定例句のようにドクターが聴診器で心音を聴きながら竹本に話しかける。
「痛いですよ…身体中、どこもかしこも」
そのように答えると「でしょうね」と笑いを堪えながらドクターは「バイタルは安定していますよね?」とナースに確認した。
「バイタル良好です」
ナースの答えに満足そうにうなづきながら、
「派手にやられちゃいましたね、ここまで酷いのは交通事故の被害者並みですよ」と言って、電子カルテのレントゲン写真を見せてくれた。

