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大きなクリの木の下で
第5章 拉致監禁

無抵抗の男をいたぶるのは彼らにとって最高の喜びだった。
とりわけ竹本には前回にこてんぱんにやられた腹いせがあったので、手加減無用で次々と鉄パイプを振り下ろした。
腕、足の骨が折れる激痛を感じながらも、
竹本は頭への攻撃は完璧に防御した。
しかし、それも限界で頭を防御する腕の感覚がなくなってゆく。
意識を失いかけたその時、パトカーのサイレンが近づいてきた。
「おい!ヤバイぞ!逃げるぞ!!」
興奮状態の彼らの耳にはサイレンに気づくのが遅れた。
ようやく気づいた時には警官に倉庫を包囲されていた。
「お巡りさん!こっちです!中です!早く!!」
タクシーの運転手が手招きして警官を呼び寄せた。
彼は竹本に「待っていてくれ」と言われたものの、
乗り逃げされるのではないかと、こっそりと竹本の後を追いかけてきていて、倉庫内でヤバイことになっていると知って110番通報してくれたのだった。
鉄パイプを振り回して抵抗する三人組だったが、
刺股で壁に押さえつけられ、身動きが取れなくなると、鉄パイプを放り投げてあっさりと降参した。
タクシードライバーの機転で竹本は一命を取りとめた。
ほどなくして救急車も到着して、竹本と美代子は近くの病院に送り込んでいただいた。
ホッとすると全身の痛みに耐えきれず、
救急車の車内で竹本は気絶した。

