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わたしのお散歩日記
第15章 マダムキラー
 商店街のアーケードをお散歩しているわたし。前を下校途中の高校生の女の子が二人連れで歩いています。

 当たり前だけど同じ制服。そして同じカバン。二人のカバンにはそれぞれお守りがぶら下がっています。ひとりは紅色でひとりは紫色。仲良さそうにおしゃべりしています。一緒に初詣にでも行って授かったものでしょうか。

 紅色と紫色の取り合わせで思い出したものがあります。思い出したものというか、思い出してしまったもの…。わたしが前を行く女の子くらいだった頃の思い出です。

 その頃の女の子って、御多分に漏れず性のことに興味津々ですよね。『御多分に漏れず』なんて言いきってしまったら言い過ぎかもしれませんけど…。

 同級生の女子の中には、そろそろ男性を経験した子も出てくる頃でした。夏休み明けに雰囲気がガラッと変わってしまった子もいたりしました。もう、わたしはオトナなんだから、あなたたちみたいなコドモとはつるんでいられないわ…みたいな雰囲気をあからさまに醸し出して…。

 仲良しの友だちとは、その子のことを話題にしながら、口ではあれこれ揶揄しつつも、内心では、男の人とそういうことをもう経験したことが、羨ましく思ったりもしたものでした。もちろん、友だちもわたしも、実践するような勇気もアテもなかったのですが。

 仲良しの友だちとは通っている美容室も一緒でした。美容室には女性雑誌がいっぱい置いてあって、美容師さんの目を盗んで性に関するページを見るのが楽しみでした。美容師さんが先客にかかっていて、待っているのが自分だけ…というのがいちばんうれしい状況。だから、読み始めてすぐに次のお客さんが入ってくるとすごくがっかりしたりして…。そんなことはどうでもいいのですけど。

 お目当ての雑誌を手に取ると、わたしはあるページを探します。それは、いわゆる「おとなのオモチャ」の広告です。雑誌のちょうど真ん中の見開きのページ。今月号にもちゃんとありました。わたしの目はある商品にくぎ付けになります。

 それは、男の人のソレをかたどった棒状のもの。アソコに入れるおもちゃ。しかも振動するというのです。色は、赤と紫の2色あるそうです。長さとか直径とかも記されていて、わたしはふと定規の目盛りをみるたびに、この広告のことを思い出してしまうのでした。名前は憶えています。『マダムキラー』。
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