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わたしのお散歩日記
第14章 社員旅行
 わたしが戸惑いながら訊くとAさんはきょとんとした貌をしています。

 『あら、言ってなかったの?』

 隣の課の子が慌ててわたしに説明しました。

 『あ、ごめん、話してなかったね。あのね、はじめは一人で唄うつもりで、衣裳はAさんが見付けてくださってたんだけど、ほら、後から三人で唄うことになったでしょ? それで、Aさんが同じような衣裳を後から探してきてくださったんです』
 『あ、そうだったんですね。ありがとうございます』
 『どういたしまして。お代とか要らないから』

 お局様と呼ばれるAさんだけど、後輩社員の面倒見はいいんだ…そんなことを思いながら畳まれていた衣裳を開いてみて、わたしは息を呑みました。

 一言でいえば、とっても”ハレンチ”な衣裳だったのです。

 (え…、なんなの? これ…)

 こんな衣裳を着せられるとわかっていれば、よっぽどひとりで手品をしたほうがよかったと後悔しました。Aさんは相変わらず無表情でカバンの中を整理しています。

 『こんなの着ることになってたの?』

 わたしは隣の課の子に小声で訊きました。

 『Aさんに衣裳のことをきかれたから、”浴衣で唄えばいいんじゃないんですか?”って言ったら、”冗談でしょ?”みたいに言われちゃって。”なんにも用意してません”って言ったら”探してきてあげる”って言われたものだから、断ることもできなくて…』

 家で既に何度か着てみたというその子は、言い訳しながらもなぜかうれしそうで、すぐに着替えを始めます。わたしも彼女が着替える様子を横目で追いながら渋々着替えを始めました。

 着てみると、膝上十数センチのスカートで太ももは丸見え。肩と背中が大胆に開いていて、胸元には小さなスパンコールが散りばめられていました。胸の谷間が見えそうだからと衣装をずり上げれば、今度はパンティが見えそうで…。生地も薄いし、薄い割にはごわごわした肌ざわりには鳥肌が立ちそうでした。ご丁寧に髪飾りまでありました。

 (なんでこんな衣裳で平気なの? もしかして露出狂なの?…)

 心の中では毒づいては見ても、今さら、わたしはやめるという訳にもいきません。こんな格好でよりによって会社の人たちの前に出て行くなんて。お風呂にも入っていないのに…。
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