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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第6章 未知の怒り

「それよりも……鬼王さま」

 一人の遊女が大胆に鬼の膝に手を置き、首筋に唇を寄せる。

「今夜はあたしらを愛でてってくださいな。どんな人間より、絶対に満足させますからあ」

 鬼は一瞬、遊女を冷ややかに見つめた後、低い声で命じた。

「服を脱げ」

「うふっ、さすが鬼王さま!」

 遊女は喜びの声を上げ、妖しく着物をはだけ始める。だが、鬼は彼女の動きを制し、冷たく言い放つ。

「衣服だけだ。試しにそれを持ち帰る」

「え?……ええ?」

 遊女は呆気にとられ、動きを止めた。

 鬼は彼女の着物を手に取り立ち上がる。

「今さらお前のような女を抱く気にはなれん…邪魔だ」

 吐き捨てられた言葉に瞠目(ドウモク)する遊女。

 彼女たちの驚いた視線を背に、鬼は花街を後にした。今はただ巫女の存在だけが──彼の欲望を独占しているようだった。


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