この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
巫女は鬼の甘檻に囚われる
第6章 未知の怒り

「それよりも……鬼王さま」
一人の遊女が大胆に鬼の膝に手を置き、首筋に唇を寄せる。
「今夜はあたしらを愛でてってくださいな。どんな人間より、絶対に満足させますからあ」
鬼は一瞬、遊女を冷ややかに見つめた後、低い声で命じた。
「服を脱げ」
「うふっ、さすが鬼王さま!」
遊女は喜びの声を上げ、妖しく着物をはだけ始める。だが、鬼は彼女の動きを制し、冷たく言い放つ。
「衣服だけだ。試しにそれを持ち帰る」
「え?……ええ?」
遊女は呆気にとられ、動きを止めた。
鬼は彼女の着物を手に取り立ち上がる。
「今さらお前のような女を抱く気にはなれん…邪魔だ」
吐き捨てられた言葉に瞠目(ドウモク)する遊女。
彼女たちの驚いた視線を背に、鬼は花街を後にした。今はただ巫女の存在だけが──彼の欲望を独占しているようだった。

