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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第19章 鬼界の異変

「……!?」

「巫女! おらぬのか!?」

 唐突に、外から誰かが彼女を呼んだ。

(わたしを呼んでいるの……?)

 風邪で熱のある身体は重く、フラリとした足取りで、巫女は屋敷の外へ顔を出した。縁側の木の感触が、裸足の足裏にあたる。

「わたしはっ……巫女はここに」

 縁側に出て声の主を探した。

 すると屋根の上から転がるようにして小さな影が現れ、巫女の目の前で止まった。

「……っ」

「兄が大変なのじゃ!」

 小さな身体が、勢いよく巫女の腰に抱きつく。

「…っ…あ、あなたは?」

 そして巫女を見上げてきたのは、小麦色の髪をした少女だった。

 大きな瞳は涙で潤み、頭の獣耳がピクピクと動く。彼女の小さな手が巫女の黒衣をぎゅっと掴んでいた。

(モノノ怪の女の子っ……?)

 少女はモノノ怪だ。その必死な表情に巫女は動揺する。少女は歯を剥き出して叫んだ。

「わらわの兄が大変なのじゃ! 今っ…鬼界では…っ」

 モノノ怪の兄妹。記憶の断片が、巫女の頭にひらめく。

「もしや──あなたは玉藻(タマモ)なのですか?」

「そうじゃ」

 少女の正体は、以前この屋敷で出会った狐の兄妹、影尾(カゲオ)の妹、玉藻(タマモ)だったのだ。


「落ちついて! あなたのお兄さん──影尾はどうしたのですか?」

 巫女は少女の肩に手を置き、落ち着かせようとした。


「──…呪いじゃ!」


 玉藻の声に、切迫した響きが宿る。


「呪い?」

「鬼界を呪いが侵食しておる…! 影尾も襲われてっ……苦しんどる。どうすればいいか教えてくれ!」

 その言葉に、巫女の顔が青ざめた。



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