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誰にも言えない、紗也香先生
第5章 川沿いのキャンディゲーム
――今夜の私は――
外の顔、「紗也香先生」。
内側の声、「サヤ」。

纏っているのはいつもの女教師の装い、
その奥に、透けるほど薄いレースに隠れた、恥じらいの花――
リザのために整えた、誰にも見せたことのない秘密。

繁華街のビル最上階、夜景が光の川のように流れる個室レストラン。
大理石の床が静かに足音を吸い取り、
キャンドルの炎が二人の影を揺らす。

グラスを傾けながら、リザの横顔を見た。
「ねえ…」私が問いかける前に、
彼女は私の耳元でささやいた。

「もう、“先生”なんて要らないでしょ?」

その指が、ブラウスのボタンを一つずつ解いていく。
外の私が、静かに崩れていく音――
布の落ちる音が、床の石に吸い込まれた。

窓に映ったのは、もう「先生」ではなく、
ガーターストッキングと透明な下着の、ただの“サヤ”。
彼女の手の中でしか咲かない、夜の花だった。
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