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第22章 ゴルフ愛好会

そして、最後に挨拶してきたのは、重村定勝の長男、重村勝兵。『兵』の字が似合う豪傑タイプで、筋肉ムキムキ過ぎて、女性が逃げ出すマッチョマン。しかし、それは見せかけ。実際は力こそ強いが大人しい性格が災いして、その筋肉を活かせないタイプ。趣味は、筋肉トレーニングと、登山。大学時代は、〇〇学院大学ワンダーフォーゲル部。ゴルフは初心者。スキーは上級者。

「は、初めまして。し、しげむむら、しょっしょうへいです。しょうは、勝、へいは、兵隊の兵です」

極端なあがり症の勝兵。完全に、名前負け。他の誰も名前の漢字の説明をしていないのに、一人だけ、漢字まで説明した勝兵。でも、実雅子は、こういうタイプは嫌いではなかった。

「初めまして。村上実雅子です。今日はよろしくお願いしますね」

と、微笑む実雅子。恥ずかしそうに頬を染める勝兵。

　　　　大丈夫。この男性はまったく記憶にないわ。
　　　　ふぅ。この反応、安心。

見た目は厳ついけど、話すと大人しそうな勝兵に安心した実雅子。

車の中にいて降りてきていなかった関夫婦。

「とりあえず、今日は大人しくしていろよ。暴れたら、作戦が全部、ご破算だからな」

と、妻の聖麗那に釘を刺し続けている壮輔。

「って、言ったってね。舐められるわけにはいかないのよ。舐めた口ききやがったら、ただじゃおかねぇ」

と、朝から同じやり取りの繰り返し。サランが車の運転席側のドアの前に立った。関が窓を開けると、

「どうしたの？」

と、聞くと、

「嫁が、参加すると言ってきかなくて」

と、嘆く壮輔。一応、ユニフォームは作って渡してあったけど、『気が短くて、すぐに暴れる』と聞いていた聖麗那には参加を見送るように話をしていたサラン。でも、当日の朝、壮輔から連絡があり、

「嫁がどうしても行くと言ってきかなくて」

と、メッセージが入った。

「今日は、初日だから、大人しくすることという条件が飲めるなら、連れてきてもかまわないわよ」

と、返信したサラン。しかし、どう見ても、大人しくできそうな雰囲気ではない聖麗那の雰囲気。

　　　　まるで、ゴリラか何かみたいね

と、内心、失笑するサラン。