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第18章 サランの陰謀

同じ大学で学んだのに、沙穂はHermèsで、芹那はChristian Diorで、実雅子はLouis Vuittonなのに、私は、バッグだけでも違う。一緒に散策していて、思い出話に花が咲く。確かに、あの頃は楽しかった。

未来は無限だと思っていた。それは、みんな同じだった。十年が経って、可能性はドンドン狭まり、今、この差になった。

研究を続け一線で活躍している沙穂。研究者同士の結婚で契約とはいえ研究者を続けている芹那。そこまでは、わかる。研究を続けて、それで生計を立てて、立派だと思える。でも、実雅子は違う。研究を投げ出して、親戚か何か知らないけど、金持ちの歯科医と結婚して、安楽でお気楽な生活をしている。せめて、研究生活を続けているなら、許せたけど。

沙穂も芹那も、何も思わないの！研究を頑張る仲間というくくりで、仲良しだったのに、それを投げ捨てて自堕落な生活をしている実雅子に。なぜ、「羨ましい」って笑えるの。

実雅子に対する負の感情がどんどん溜まってしまうサラン。他の二人のように屈託なく笑うことができなかった。でも、合わせるしかない。笑顔を作って、三人に微笑みながら、話を合わせ、頷くしかない。

沙穂とも芹那とも感性が違う。自堕落な生活し、ますます太って、デブになった実雅子のどこが羨ましいの？理解できない。

沙穂が、

「実雅子って、バスト、さらに大きくなったんじゃない？何カップなの？」

と、笑顔で聞く。

「え？」

戸惑いながら、

「HかI。どんどん太るのよ」

と、答えながら嘆く実雅子。

　　　　そう、太り過ぎよ。

サランは内心で、叫んだ。そして、

　　　　沙穂も実雅子をデブだって思っているのね。

と、思ったら、

「羨ましい。どうしたら、大きくなるの。わたし、Cなのよ。寄せて上げて、やっとなのよ」

と、嘆く沙穂。沙穂ですら太ったと感じていたサラン。芹那も、

「実雅子は、いいわね。大きいと旦那さん、喜ぶでしょ。うちなんか、夫が真面目な顔して、『巨乳になる薬を開発できたら売れるぞ』ってわたしの顔を見ていうのよ。『セクハラ』って指摘しても、『大きくなりたくない？』って聞いてくるの。一応、Cだから、問題ないと思っていたけど、実雅子のバストを見たら、なんとかEくらいになりたいって思うわ」

と、嘆いた。