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第16章 実雅子の過去

「実際、どういう女性なのか、正直に話せよ。でないと、お前が言うように『離婚』させるにも、正確な情報が必要だ」

志温がサランに話すと、サランが、

「わかったわ。私が知っているのは、大学の４年間。K大学の工学部は男ばかり。実際、日本のノーベル賞受賞者も男ばかり。実雅子は、言っていたわ。『ここには日本のできる男が集まっている』って。実雅子は、K大学に結婚相手を探しにきたのよ」

と、話した。反町は聞いて難しい顔をして、

　　　　費用対効果からするとどうだろう？
　　　　K大学の男を捕まえるだけなら、
　　　　K大学の近くの女子大でもいい。
　　　　実際、〇〇〇女子大や、〇〇女子大の女子大生は、
　　　　K大学か、〇〇〇大学などの男子大学生を捕まえて
　　　　結婚しているケースが多い。

と、考えていた。重村も同様だった。

　　　　それだけのために、難しい勉強をして、
　　　　受験して進学するだろうか？
　　　　結婚相手を探すだけなら、他に方法はいくらでもある。
　　　　ま、日本のできる男が集まっているは、間違いではないが。

と、思った。斎田は、

　　　　日本のできる男が集まっているは事実かもしれないが、
　　　　できる男が稼ぐ男だという保証はない。
　　　　実雅子の夫は稼ぐ男かもしれないが、K大学ではないだろう。

と、面白くなさそうな表情で聞いていた。

サランは、そんな男たちの感想を知ってか知らずか、

「〇ITに進学したのも、同じ。アメリカのできる男が集まっているから、そこに結婚相手を探しに行ったのよ。で、結婚相手を探すために、できる男が好きなゴルフを始めた。そこで捕まえたのが、今の夫じゃないかしら」

と、話し続けた。

　　　　実雅子の夫の村上義隆がアメリカに留学していた可能性はあるのか？
　　　　そういえば、兄は海外で勉強していて帰国するとは聞いたが。

と、反町は、関の話を思い出した。関も、思い出しているのか、軽く頷いて、可能性ありと判断しているようにも反町には見えた。

　　　　K大学に歯学部はない。
　　　　でも、医学部で口腔外科医師と出会う可能性はあるが。
　　　　〇ITに歯学部はあるのか？
　　　　そういえば、免疫と脳科学の利根川進がいたけど。

と、歯科医の夫と〇ITで出会ったことに懐疑的な理系の佐藤。